浸透記憶
浸透記憶
水城ゆう 著
アルコール中毒気味の警部・槇村は、連続猟奇殺人事件の犯人と目される異常性欲者を、あと少しのところまで追い詰めながら取り逃がしただけでなく、次のターゲットがわかっていながらみすみす殺されるという失態を犯し、マスコミからの非難を浴びていた。
槇村が酒を手放せない理由はもうひとつ。再婚したばかりの若き妻、知佳が脳腫瘍に冒され、余命わずかなのだった。そんなとき、自分なら知佳を救えるという医師、松岡が槇村にコンタクトを取ってくる。無認可の最先端手術の費用は5000万。ゆらぐ槇村に松岡が指示してきた方法とは、どんな理由があろうとも公務員として決して許されることのない手段だった……
これは長編SFサスペンスにして、切なく激しい愛憎劇でもある。